なぜかここのところクラシック音楽ネタが続いているわけですが。
以前から気になっていた小説「シューマンの指」が文庫化されたので、さっそく買い求めて読んでみた。
- 作者: 奥泉光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/16
- メディア: 文庫
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半分ぐらいのところまでずっと、うーんなんだかダラダラした話だなー、というのが正直な感想だった。ところが後半からちょっと勢いがついてきて、最後はもう、二重三重のどんでん返しというか、うっわーしてやられた!という感じで、こいつは参りましたよ。ああいうオチ(と思ったもの)にもって行くのは、ある程度予想できたはずなのに、そこでまず一本取られて、さらにもう一回半ひねり。なんだかくやしい。
音楽という芸術のデモーニッシュな側面と、それにコミットする人が狂気に蝕まれていく様子を描いた傑作、という感じで、少し前に観た映画「ブラック・スワン」に通じるものがある。こう見ると、先に書いたような「なんだかダラダラした話」というのが、「何とも言えない独特の妖しい雰囲気」と、印象が変わってしまうのがまた面白いところだ。