わたくしが読んでいる本のうち、2割以上はレイさん(id:reiworks)が大量に貸してくださる本、通称R文庫だと思う。R文庫で初めて知った作家とか、まあ今までだったらまず自分では手に取らないだろうという本もけっこうあって、なかなか面白いもんです。考えてみればすごい影響力だな。
でそのR文庫、たまにとてつもなく怖いホラー小説が混ざっていたりするので要注意。今回の「アミダサマ」がそれだ。
- 作者: 沼田まほかる
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/11/28
- メディア: 文庫
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とある青年が、ある日どこからともなく聞こえてくる「コエ」に導かれて、産廃置場に廃棄された冷蔵庫に閉じ込められて死にかかっている少女を救う、てなところから話は始まる。啓示ですねこれは。啓示だから人間の対応としては拒否するか受け入れるかしかなく、受け入れてしまったために、彼の日常は破壊されてしまった。
青年の助けた少女・ミハルは、寺で育てられながら、溺愛していた猫の死をきっかけとして、邪悪な「力」を発現させてしまう。そう、イノセントな子どもの欲望というのは、とてつもなくグロテスクでバイオレントなものなのですよ。通常、子どもは無力だからそれで特に問題はないのだけど、もし何かの「力」を持ってしまえば、それがもたらすものは邪悪で醜怪なものになり得るというわけだ。
とにかく、ミハルの「力」により周囲の人々にその邪悪なものが拡がっていく様子の気色悪さが絶品なのだな。はっきりとここが、というのではなく、理屈では気のせい、思い過ごしと片付けることもできそうな異常なものにどんどん蝕まれていく気持ち悪さ、なんだか神経に直接触る感じの怖さ、だった。
いやあこいつは参りましたね。