野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

「目が散る」からメチルアルコール、って覚えたもんさ

昨年の暮れぐらいだったかに文庫化された、原田マハの『太陽の棘』。正月にゆっくり読もうと思っていたのだが、実際にはほんの10ページほどしか読めず。
でこの前の3連休でなんとか読み終わった。

太陽の棘 (文春文庫)

太陽の棘 (文春文庫)

老い精神科医の回想として語られるこのお話の舞台は第二次世界大戦が終わった直後の沖縄で、大学を出たばかりの主人公エドは、精神科の軍医として沖縄に派遣される。もともと医者よりも画家になりたかったエドは、偶然にニシムイ美術村に迷い込み、そこに住む画家たちと交流を始める。と、やはりこの辺が原田マハ、という感じで。完全にフィクションなんだと思っていたら、ニシムイ美術村というのは実在しており、米軍の軍人との交流もあったようで。
題材が沖縄と米軍、てなことになると、これはなかなか微妙なものがあったりすると思うのだけど、その辺は解説で佐藤優ちゃんが指摘しているように、ニシムイの画家たち、そして医者、を経由させることでそういう機微に触れる部分を迂回しているというか刺激を和らげているというか。なるほど上手いことやったな。上手いけど、ちょっと小賢しい感じがしなくもない。ああごめんなさいこんな事を言って。別に悪気はないんです。わたくしの根性がほんの少しばかり曲がってるだけなんです。