野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ピョートルって誰?

チーム・バチスタの栄光』を読んだのはずいぶん昔だ。それ以降、「桜宮サーガ」と呼ばれる、あの長大な作品群をあれこれ読んだがものだが、最近はフォローしていない。ちょっと飽きた、というか何を読んでどれを読んでないのか、よくわからんようになるのよな。
その「桜宮サーガ」の作者である海堂尊さんが、チェ・ゲバラの小説を書いたという。
ゲバラについて知っていることは多くない。何やらキューバ革命に関連していた、ぐらいなもんで。そのキューバ革命だって、何がどう革命されたのか、よくわかってない。
けども『バチスタ』シリーズのあの感じでゲバラの伝記(?)が読めるなら、なんだか面白そうじゃないか。
というわけで、まずは『ゲバラ覚醒』。

ゲバラ覚醒 ポーラースター1 (文春文庫)

ゲバラ覚醒 ポーラースター1 (文春文庫)

20代の医学生エルネスト・ゲバラは、友人と二人で南米大陸をバイクで横断する旅に出たのだという。これは実話であり、ゲバラ自身による『モーターサイクル・ダイアリーズ』(あるいは『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』)という旅行記があり、また映画にもなっている。これをベースに、若き日のゲバララテンアメリカ諸国で見聞してきた物事を、ある事ないことごちゃ混ぜにして面白おかしく仕立て上げたのがこの『ゲバラ覚醒』ということになる。子供の頃にファリャにピアノを教えてもらったが、「君は才能ないからやめときなさい」と忠告されたとか、ママンのサロンで飲んだくれ、やさぐれていたボルヘスに詩集をもらっただとか、ペロン大統領夫人のエバが売れない女優のころからの知り合いであり、その伝手でクーデターにより拘束されていた副大統領のペロンを助けたとか、それはもう、そんな話よう思いつくな、あんた小説家か(小説家だ)てな具合になっている。いや、面白いから良いんだけど、本気にする人がいたらどうするのよ、とちょっと余計な心配してみたりして。
ああでも、本来は接触がなかったはずの(少なくともそのような記録はない)エバと絡める、というのはすでにミュージカルや映画の『エビータ』てやられていて、後でそれを知った海堂さんが悔しがったのだとか。
まあそういうのは別にしても、ラテンアメリカの歴史を知るのにも良い一冊かも。ややこしくてなかなか頭に入らないけど。
さて次は『ゲバラ漂流』ですな。