野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

夜をぶっとばせ

性懲りも無く、いくらでもAppleMusicで聴ける古いアルバムのCDを中古で買い漁ったりしている。
なんというかもう、わたくしにとってはCDのような物理メディアを介してでないと音楽体験が完成しないのではないか、という気がしてきた。もちろん普段聴く時には、MP3にエンコードされたデータをデジタルのプレイヤーで聴くわけだが、その前段階において、まずCDを入手する、というプロセスを経ないと、音楽を聴いた気になれないのだろうと思う。
それはある種の疾患ではないのか、との疑念を抱かれる向きもあるだろう。あるいはそうかもしれない。しかしながら、ひょっとして(一部の)人間というのは、音楽を聴くために多かれ少なかれそういうプロセスを本能的に必要とするのではないだろうか。でないと、この配信全盛の時代にわざわざヴァイナルだのカセットだのを買い求める人が少なからずいる、ということの説明がつかないではないか。

そんなわけで先週パスポートを取りに行ったついでに梅田のディスクユニオンを覗き、マディ・ウォーターズの中古CDを買った。"Electric Mud"だ。もちろんApple Musicで聴ける。だけどそれが何だっていうんだ。

ちなみに、このジャケットは、北米や日本の市場で流通しているものだが、わたくしが買ったのは、ヨーロッパ盤だ。

個人的にはこのアートワークの方がずっと好みだ。

なおヨーロッパでもドイツはこんなのだし

スペインはこんな感じだ。

うむ、ドイツ盤もなかなか良いな。

マディ・ウォーターズってもともとエレクトリックじゃなかったっけ?という気もするが、何やらジミヘンにインスパイアされたという衝撃の問題作、であるらしい。あーねぇ。
いや、わたくしは好きですよこれ。"Hoochie Coochie Man"(原型とどめてないけど)と"Mannish Boy"の両方入ってるし。
ローリング・ストーンズのバンド名の由来はご存知マディ・ウォーターズの"Rollin' Stone"なわけだが、このアルバムの一曲目"I just want to make love to you"はストーンズのシングル(日本では『恋をしようよ』などという悲惨な邦題がついていたらしい)になっていたし、一方でストーンズの"Let's Spend The Night Together"をカバーしていたりして、その辺がまた面白い。
とにかくまあ全体に、やりたい放題という感じでなかなか良いと思う。
続編の"After The Rain"もまた、かなりアクが強そうで、もしチャンスがあればそちらも入手しておきたいと思ったりもするのである。