山岸・新田ライジング

映画の『マスカレード・ホテル』と『マスカレード・ナイト』を観て、これは原作も行っとかな、と『マスカレード・ホテル』を読んだ。面白かった。
次は『マスカレード・ナイト』かと思うと、原作の「マスカレード」シリーズは、『マスカレード・ナイト』の前に『マスカレード・イブ』がある。
ややこしいのぉ、と文句いいつつ読んでみた。

マスカレード・イブ (集英社文庫)

どうせ映画はイブとナイトをまとめて『マスカレード・ナイト』にしたのだろう、と思っていたらそうではなかった。新田や山岸が新人だったころのエピソードや、『マスカレード・ナイト』につながる前日譚を詰め合わせた短編集だった。『ハンニバル』に対する『ハンニバル・ライジング』みたいなもんだ。
卓越した観察眼と優れた推理力で、複雑に入り組んだ現代社会に鋭いメスを入れ、さまざまな謎や疑問を徹底的に究明して、すごいですね山岸さん、というかいくらなんでもちょっと宿泊客のことを詮索しすぎじゃないのかな。そんなんだから余計なことにあれこれ巻き込まれるんでないの。コナン君みたいに。いやちょっと違うかな。
で「ルーキー登場」に出てくる、ジョギング中の夫を殺害された田所美千代。どっかで見覚えのある名前… あ、『マスカレード・ホテル』の！
と思ったけど、改めて調べてみたら『マスカレード・ホテル』にそんな登場人物はいない。夜のジョギング中に殺された高校教師・畑中和之とか、飲食店経営者の妻・井上浩代、なんてのはいるけども。
じゃいったい誰なんだ田所美代子ってのは。なぜ見覚えがあると思ったのだろう。さっぱりわからない。
ジョギング中に殺害される飲食店経営者もそうだし、「マスカレード・イブ」の一見まったく無関係だけど実は関連している殺人事件とか、『マスカレード・ホテル』と微妙に似たようなディテールをぶっ込んでくるのは、ひょっとして読者を混乱させようという作者の企みなのだろうか？（んなわけなかろうが）
次はいよいよ『マスカレード・ナイト』ですな。