世界はいつも愚劣で醜悪なニュースで溢れかえっているのだから、できれば美しいことだけを考えながら日々を機嫌よく過ごしていきたいものだ。そう思うのだけど、なぜか「シズコさん」はそれを許してくれなくて、これでもかこれでもか、と人間の持ちうる悪意というものの色んなかたちを見せてくれる。
- 作者: 佐野洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09/29
- メディア: 文庫
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すっかり打ちのめされて、もういいよ、と思ったころに、シズコさんはぼけてしまってすっかり優しいおばあさんになる。そして母・シズコさんをどうしても好きになれなかった作者はやっと「赦される」。これで読者のみんなはカタルシスを感じてすっきりし、感動の涙を流すのかもしれない。けど、俺様はすでにそれまでのショックですっかりダメージを受けてしまっているから、もう立ち直れない。
結構デリケートにできているのだよ、俺様は。