野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ビギニングってことは続編も

昨今は「パワースポット」なんてものがもてはやされ、その軽佻浮薄ぶりにはなんとなくそれはちょっと違うだろ的な感想とともに、いささか苦々しく思ったりもする。それでも、「なんだかよくわからないけど気分の良い場所」とか「うまく説明できないけどどうも苦手な場所」っていうのはやっぱりある。別にわたくしは「視えるひと」ではないけど、確かにある。そういう「気分の良い場所」ってのがいわゆる「パワースポット」で、つまり「聖地」なのだろう。いや、気分の良い場所だけでは無くて、なんとなく気持ちがざわざわするとか、そういうのも含めて。
そんな「聖地」を、内田樹せんせと「巡礼部」のみなさんが、釈徹宗師をガイドとして歩く。その道すがらの内田せんせと釈師のおしゃべりを本にしたのがこの「聖地巡礼ビギニング」だ。そりゃ面白くないわけがない。

聖地巡礼 ビギニング

聖地巡礼 ビギニング


大阪、京都、奈良のそれぞれで「聖地」を歩くわけだが、まず大阪は天満宮から上町台地を伝い、難波宮跡公園、生國魂神社を経て四天王寺へ。わかる人にはわかるが、これはあの「大阪アースダイバー」にインスパイアされたものだ。実際わたくしも歩いてみたことのあるルートだが、やはりこういうガイドがあると、その充実度はまた全然違うわなあ、とまことにうらやましい限りである。寺町から合邦辻まで、千日前の悪所、生と死のアジール。なんて聞くともうわくわくしてしまう。そう、千日前あたりって、なんだかただならない気配がして、でも妙に惹きつけられるのよな。
京都篇も、蓮台野と鳥辺野、古代からの葬送地で異界への入り口、なんてもうたまりまへんなぁ。で、六波羅蜜寺。この空也上人像は前から気になってたのですよ。
そして奈良篇の三輪山なんてのはもっとすごい。いやもう、日本にまだこんなところがあるのかと。
という感じで、知ってるところも知らないところも、みんな面白そう。ぜひ訪れてみなければ、と思った次第でございますよ。