野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

神仏と男たち

「大阪の神さん仏さん」を読んだ。現役の僧侶にして宗教学者でもある釈徹宗さんと歴史学者の高島幸次さんによる対談がもとになっている。いや正確には対談ではないな。ナカノシマ大学のお二人がそれぞれホスト・ゲスト役を入れ替わった講座だな。

大阪の神さん仏さん

大阪の神さん仏さん


先日読んだ「大阪アースダイバー」は、大阪の地図を見ながらその古層・深層を掘り出し、大阪のあれこについてルーツを探りディープ大阪の謎を読み解く、という試みであった。ここでは、神社とお寺に着目し、これらについてより深く語ることで大阪人のメンタリティについて考察する、てなことをやっている。中沢新一さんが本のオビに「大阪の聖地を語らせたら、このコンビは最強だ!」と書いているとおりで、そりゃもうお二人ともスペシャリストなわけだから、ものすごい勢いでディープな話が次々出てきてちょっとなかなかついて行くのも大変、だけどとにかく面白い。
大阪のお寺の数が、実は全国で2番目に多いとは知らなかった。全部で3000もあるのだそうだ。ちなみに一番多いのは愛知県で4200、イメージ的にお寺の多そうな京都は5位なんだそうで。へええ。でその大阪の3000あるお寺のうち実に三分の一が浄土真宗の寺院だと。だから浄土真宗というのは大阪の文化、そして大阪人の価値観やメンタリティに大きな影響を与えている、というわけだ。さらに職業観、合理主義、横並び意識など、浄土真宗とプロテスタンティズムの類似性についても指摘する。そしてこれが大阪人気質の形成に一役買っているというわけだ。ほんまかいな。
かなり濃厚で、面白い本でした。