ジミ・ヘンドリックスが亡くなってから40年以上経つわけだが、それでもいまだに、やれ未発表音源だなんだと新しいアルバムが出たりするものだ。
だから、まだ死後5年ほどでしかないレヴィ=ストロースの著作が出てきたからといってそんなに驚くようなことではない。
- 作者: クロード・レヴィ=ストロース,川田順造
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/07/09
- メディア: 単行本
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正直なところ、内容はもひとつよく分からなかった。でもなんとなく面白い話だし、とりあえず「月の裏側」というタイトルがなんだか魅力的だ。
レヴィ=ストロース老師は、実はかなりの日本びいきであったらしい。初めて来日した時に見聞きした物事から、かなりインスパイアされたものがあったようだ。時々、その時の体験などを過度に一般化したり事実誤認があったりしながら、それをベースにした説を立て、話がちょっと妙な方向に行ってしまっているケースもあるのが微笑ましい。そして老師を敬愛してやまない川田順造教授も、その辺は訳注で容赦なく指摘している。これが学者というものだな。
偉大な人類学者レヴィ=ストロースも、そういうちょっとスカタンなことをしてしまう場合もあるということだ。が、老師が偉大なのは、正しい理論を構築したからではない、とりあえず事実として認識したものをもとに構築する理論のぶっ飛び具合が非凡であるという点においてである。ということじゃないかと思うんですけどね。どうですかね。とりあえず、内容はイマイチ理解できないのに、何となく面白いな、とか、なんだかすごいこと言ってそうだな、と感じる。個人的にはそれが、ついついレヴィ=ストロースの著作を読んでしまう理由なんだな。