野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ひょっとしてImmletだと思ったのかい?

クリステンセンの「イノベーション」シリーズはもういいよ、と思っているのだけど、訳あって『イノベーションへの解 実践編』を読むことに。

イノベーションへの解 実践編 (Harvard business school press)

イノベーションへの解 実践編 (Harvard business school press)

  • 作者: スコット・アンソニー,マーク・ジョンソン,ジョセフ・シンフィールド,エリザベス・アルトマン,クレイトン・クリステンセン,栗原潔
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2008/09/19
  • メディア: 単行本
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破壊的イノベーションってのは、稀有な才能を持つ限られた人だけが起こせる、てものじゃない。ちゃんと理論と定石みたいなものがあって、それに従って頑張れば誰だって破壊的イノベーションで一発当てられるんだぜ、てなことを『イノベーションへの解』に書いてたんだったかな。理屈はこうだが具体的にはこうするんだ、てのをいろんな事例とともに紹介するわけで、この手の本の体裁としてなはまあありがちですわな。演習みたいなのが各章の終わりにあるので、それを真面目にやれば、あるいは、ね。
言ってることはずっと変わらない。とにかく「片付けたい用事」は何かを特定せよ、と。それに対する解決策がすなわち顧客価値提案である、てなわけですよ。あとはまあ、「実践編」と銘打っているだけあって、「中核事業」と「破壊的イノベーション」に対するリソース配分についての説明はけっこう詳しく書いてたな。あんまり面白い話じゃなかったけど。
これは翻訳の問題だけど、大手化学会社の「メレク」ってそれひょっとして、と思ったらメルクのことだったし、GEのCEOはどうしたってイムレットとは読めなくて、ジェフ・イメルトだろ。翻訳そのものの質もさることながら、あまり常識のない人が訳したっぽいですわね。本筋とは関係ないかもしれないけど、あんまりそういうとこで手を抜きすぎると、日本でクリステンセンの評判が落ちますぜ。