「すべての道はローマに通ず」という言葉があるけど、それってどういう意味なんだ?と正面切って訊かれると、実はうまく答えられない、ということについ最近気づいた。手許の「故事ことわざ辞典」で調べてみると、「ローマ帝国の全盛時には、世界各地からの道がローマに通じていたということ」とある。いや、それは見りゃわかりますよ、そういうことじゃなくって、と思って先を読んだら、ちゃんと説明してあった。「物事が中心に向かって集中すること、手段は違っても目指す目標は同じであること、あらゆる物事は一つの真理に発していることなどのたとえ」だそうだ。なるほど。しかし、それってみんな全然違うことを言ってますな。そんなんでほんまに大丈夫でっか。
てなことを考えつつ、「ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫)」を読んだ。
ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫)
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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ある時代を切り取り、その詳細について蘊蓄を述べる、といういままでのシリーズとちょっと違う。前書きにもあるように、時代は紀元前から現代まで、2,000年以上のスケールであっち行ったりこっち来たりするのだ。タイトル通り、上巻はローマ帝国の「道」について述べている。「道」というのは文字通り、ローマ帝国内の各地に張り巡らされた街道のことだ。じっさい、今から二千年以上も前、ブルドーザーもクレーンもロードローラーも無い時代に、良くもまああれだけ広い帝国の版図に、隅から隅まで街道を作りまくったもんだと思った。まったく気の遠くなるような作業だったろうに。