野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

カメハメ波かと思うがな

昨日、東京へ出張した帰りのこと。ニュースにもなったように人身事故により新幹線のダイヤが乱れまくり、予約していた列車は運休になったので致し方なく自由席に乗った。新横浜から豊橋まで立ちっぱなしという愉快な体験をさせていただいた。
それをどうこう言うつもりはない。だけど気になったのは駅の電光表示や社内アナウンスだ。「米原駅で人が列車に衝撃し」と言っていた。ん?事故でパニくってるのか?変な日本語使うなよ、と思ったけど、どうもそういうわけではないらしい。
三省堂の「辞林21」によれば、「衝撃」とは

  1. 激しく突き当たること。また、それによって起こる刺激。「ーを感じる」
  2. 思いがけない出来事によって起こる、心の激しい動き。「社会にーを与えた事件」
  3. 物体に瞬間的に激しい力が加えられること。また、その力。

とある。今回の件は客観的には3番目の意味に相当するだろう。JR東海にとっては2番目だと思うけど。それより、この言葉は「〜の衝撃」、あるいは「衝撃の〜」といった使い方が一般的で、「衝撃する」と動詞のように使う用法はついぞ見たことが無い。今朝の朝刊の記事だって、「新幹線が線路にいた男性をはねた」というような表現を使っている。「衝撃する」も文法的には間違いではないのだろうけど、あまりにも違和感がある。鉄道業界特有の表現なのだろうか。
世間一般では、「男性が新幹線に轢かれた」と、たとえ男性が自殺の意志を持って線路に入ったのだとしても、いわば男性が被害者であるかのように表現する。JRの立場からすると、それはたまったものではないのだろう。彼らに言わせれば、多大なる損害を被ったJR東海こそが被害者なのだ。
だからその男性を主体にして「男性が新幹線に衝撃した」という表現を使うのかもしれない。ちょっと了見が狭いように思うのだがいかがか。