野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

マカフェリ2号登場

京都の高台寺の近くに、飴屋があったそうだ。随分と昔のことだが、その飴屋にある日の夜遅く、青白い顔をした陰気な女がやってきて、一文の飴を買って帰る。そんなことが六日続いた。その店の旦那いわく、多分あれは人間やない、幽霊の類いや。おそらく明日は現金が無いやろう。人が死んだ時に、三途の川の渡し賃として六文、いわゆる六道銭というのを一緒に埋葬する。それを使っているのだから六日目で所持金が底をつくのだ、と。
果たして七日目、女は「今日は持ち合わせが無いのだがまた飴を売ってはくれまいか」とやってきた。飴を渡したあと、飴屋が女のあとをこっそりつけてみたところ、高台寺の墓地のあたりで姿を消した。訊けば最近、お腹に子を宿しながら死んだ女性がいたとか。件の女の墓を開けてみると、なんとその子供が埋葬後に産まれていた。その子を育てるために毎夜、一文の飴を買いに化けて出ていたのだ…
なんと、母親の一念というやつや、えらいもんやな。
そらそうや、なんといっても子ぉ大事(高台寺)やからな。
というのが、「幽霊飴」という噺なのだそうだ。なんでもこの店はいまでも営業しているらしい。
その高台寺で行われたジュスカ・グランペールのライブに行ってきたあるね。
お寺のライブってよろしいな。ていうか高台寺ってよろしおすなあ。庭が立派。ライブがあったのは本堂で、結構広いけど満員御礼。人いきれで暑い。庭に面した廊下の部分は風が通るので涼しい。2℃くらいは違いそう。よっぽど廊下で観ようかと思ったが、ちゃんんと本堂に入れ、とかなんとか注意されても面白くないので、おとなしく本堂の中に座ってライブ鑑賞した。
ジュスかのお二人もさすがに場所柄をわきまえてか、たとえば「Smile Smile」でブイブイいわして本堂のなかでみんなをジャンプさせる、なんていう狼藉ははたらかなかった。んでもアンコールでやった「三条大橋の下で」は、あの場所の空気にぴったりで大変結構でござった。