文庫化されて初めて、「東京大学のアルバート・アイラー」なんていう本があるのを知った。なんとあの菊地成孔氏が、東大の非常勤講師として通期のゼミを持ったときの講義録、ていうんだから読んでみないわけにはいかない。ということでまずは前期の「歴史編」。
東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫)
- 作者: 菊地成孔,大谷能生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/03/10
- メディア: 文庫
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いやすごい。この人はUAとのコラボレーションで "cure jazz" というアルバムを作っていて、そのライナーノーツを自分で書いている。それを読んでなんと多才な人かと感心したものだが、今回のこの講義も素晴らしい。こんな講義が聴けるなんて東大ってすごい。正規の東大生とモグリの聴講生が同数程度、というのもむべなるかな。
それにしてもジャズミュージシャンというのはみんな、これぐらいのことは基本的な知識として知っているものなのだろうか?どうもそうではないような気がする。つまり、菊地氏が異様に博識なのではないか。あと、いかにも喋っているのを録音したテープ(いまならICレコーダとか?)からそのまま文章に起こしました、というようにしか見えないのだが、実はこれ、パートナーの大谷能生氏が、実際に喋った内容をもとに、「いかにも菊地氏が喋りそうな感じ」の講義を創作したというのだから恐れ入る。鬼才だ。後期の「キーワード編」もかなり楽しみだ。