人類の歴史の99パーセントにあたる期間、そして地理的に地球上の4分の3で人間はいわゆるところの「未開社会」で暮らしてきた、と故レヴィ=ストロース老師はおっしゃる。日本人の精神の深層にも、この新石器時代の「野生の思考」が横たわっており、その名残は土着の信仰の対象として祀られる神や、各地に散在する地名に見ることができる。
「精霊の王」って、そんな話。いやそれだけじゃなくてもっと濃く、深いけど。もう、この手の話って読んでてわくわくする。
- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/11/21
- メディア: 単行本
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能役者・金春禅竹(恥ずかしながらこの本で初めて名前を知った)は、精霊の棲むどこかの空間から現実の世界に顕現する宿神が「翁」である、と看破した。そして日本の各地に伝わる神話から共通項や対称性を見つけ出し、「名宿集」を著したという。おおっ、それってレヴィ=ストロースやんけ!「神話論理」よりも500年以上も前に。
この本は濃すぎる。この奔放な思考の冒険についていくために、前提となっている知識が全然足りない。柳田國男も折口信夫も読めてない。とりあえず、やっぱり「野生の思考」は読んどくべきだ。5,040円がなんぼのもんじゃい。"CODE COMPLETE" より安いがな。