天下茶屋にある「天牛堺書店」の品揃えは、まあ率直に言って「つまらん」のだが、古本はときどき面白いものがあったりする。先日はワインバーグの「システムづくりの人間学」を発見し、つい買ってしまった。
システムづくりの人間学―計算機システムの分析と設計を再考する
- 作者: G.M.ワインバーク,木村泉
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1986/07/01
- メディア: 単行本
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例によって木村泉さんの翻訳は、固いというか古くさいというか、でも独特の味わいだな。それでもとりあえずは、さすがワインバーグ、と言うべきか。見ようによってはヨタ話と言えなくもないのだが、非常に鋭い洞察にもとづいて、顧客へのインタビュー方法からシステムの設計と保守に関する心得まで、実に含蓄の深いおはなしを次々と繰り出すわけだ。自分自身を振り返って、ああ気をつけなければと思ってみたり、うーむなるほどとうなってみたり。
どうにも気になったこと。誤り訂正のトレードオフに関する話題のとき。以下のような文章を誤りを含む例として提示されていた
Their euthusiasm was transformed from high to low by chance of events.
chanceは実はchangeが正しかった、だけどchanceというのも正しい英単語だし、文章としてもそれなりに意味が通じてしまう。だから、これをソフトウェアのアルゴリズムで実現するのはほぼ不可能である、てな話をするわけだが。
とりあえずeuthusiasmってenthusiasmの間違いじゃないかと思うのだけど、それについては一切触れられない。ひょっとして何かの引っかけなのだろうか?ワインバーグ恐るべし。