「反哲学入門」が文庫になっている。
木田元さんといえば、ハイデガーの翻訳してる人だよな確か。
- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: 文庫
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そもそも「反哲学」って何じゃい。
いわゆる「哲学」の歴史においては、いくつかの大きな転換点があった。そのうちのひとつがニーチェによる「西洋哲学批判」である。つまり世界(人によって色んな言い方をしてるようだが)とは何か、を考えるにあたって、超自然的なものを設定するという手法についての批判、かな?だからニーチェ以降とそれより前のいわゆる「哲学」を同一線上に並べて論じるのにはそもそも無理があるのだそうで。この超自然的なものを設定して世界を理解しようとする試み、というのがどうも欧米人に特有のやり方らしくて、だから我々日本人にとっていわゆる哲学が難解なのは当然である、という説は面白い。
そしてこのニーチェの思想の影響を受けているのが、メルロ=ポンティのまさに「反哲学」とかデリダの「脱構築」とか、ハイデガーの思想ということで、これらの流れを「反哲学」としている、らしい。
で、この本って実はハイデガーの解説本なのだ。それまでの西洋哲学の歴史についての解説は、いわばそのための伏線と言って良いだろう。木田氏はハイデガーの「存在と時間」を読むために哲学者になったような人だから、当然「ハイデガーすげぇぞ」なんである。
この辺、先日の「竹田教授の哲学講義21講」と読み比べるとまた面白い。竹田教授は、ニーチェ以前のヘーゲルやフッサール思想は正しく理解されておらず、だから昨今の「反哲学」とかポストモダン思想っていうのは結局「ちょっと違う」、やっぱりヘーゲルって立派だぜ、てな主張をされるわけだ。どっちが正しいのか、残念ながらこの俺様の知性ではちと扱いかねる。しかしながら、それぞれに今まで哲学というものに対する態度についてドラスティックな変更が生じる、とても刺激的な2冊であると言える。
でも最後はやっぱり根性決めてオリジナルに当たってみなアカンのよなー、多分。