「味を覚えたっていうのかな」

「少年は残酷な弓を射る」の下巻を読み終わった。

少年は残酷な弓を射る 下

なんだかどっと疲れてしまった。これ、先に映画を観ているから、あの結末というかケヴィンのやらかしたことを全部知った上で読んでいるのだけど、知らずに読んだらまたもひとつ衝撃的だっただろうと思う。逆に映画ではケヴィンが高校で起こした「事件」についてはかなり後の方までわからなかったが、原作ではほぼ最初から明らかにされていて、その上で話が進んで行く。この違いはけっこう大きい気がする。
そしてやはり、映画ではどうもよくわからなかったところについて、やはり原作ではがっつりと掘り下げられている。だからそのぶん疲労感も深いのだろうな。
妹のシーリアが「事故」で眼球摘出することになる話をしながらケヴィンがライチを食べるシーン、あれは映画で追加された演出だとばかり思っていたのだが、しっかり原作にもあった。そして映像に負けず劣らずのあのグロテスクさには参ってしまった。
ところで映画の最後のシーンでエヴァが刑務所へ面会に行ったときに、「なぜあんなことをしたのか」と訊かれてケヴィンが最後に言ったセリフ。「前はわかっていると思ってたんだけど」「いまはよくわからない」の意味は、映画と原作でずいぶん違うなぁ、と感じた。
いずれにしても、まあ実にヘヴィな本でしたわ。しばらくはちょっとお気楽な本で口直しが必要ですな。