「資本主義」ってよく言うけど、それっていったい何なの、と説明を求められるとちょっと困るかもしれない。色々と非難されることも多いようだけど、何かそれ以上にうまくいっているシステムがあるのかというと、どうもそういうわけでもないようだ。その資本主義について、社会学者の大澤真幸さんと経済学者の水野和夫さんが徹底的に語った、というのが「資本主義という謎」という本だ。
- 作者: 水野和夫,大澤真幸
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2013/02/07
- メディア: 新書
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とりあえず、資本主義の定義は、”近代の行動原理である「より速く、より遠くへ、より合理的に」を経済的な側面から最も効率よく実現できる仕組み”である、と。なるほどね。
ところで資本主義はプロテスタンティズムの合理性から生まれた、なんていうが、キリスト教では利子を取ることを禁じていたはずじゃないのか、という謎があったりする。実は最初のころ、あれは建前としては利子ではなくある種の手数料、というかなんだかずいぶんとトリッキーなことをしていたらしい。どうもその始まりからしてなんとも胡散臭いのな。そして、国家の力を使って資本主義というのは発展して行くわけだが、ある程度大きくなってくると、今度は国家という枠組みが邪魔になってくる。つまり現代のような、国境を越えるグローバル資本主義ってやつだな。
他にも「実物投資空間」の膨張がインフレで、「電子・金融空間」の膨張がバブルだとか、だから経済成長は必ずバブルに行き着く、とか色々と興味深い話もあるのだが、まあこの辺で。非常にスケールが大きく、そして中身の濃い一冊でございました。