野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

より近く、よりゆっくり、より寛容に

出てますねえ、水野和夫さんの新作『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』。
さっそく読んでみましたよ。

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)

 

『資本主義の終焉と歴史の危機』では、「より速く、より遠くへ、より効率的に」を追求し、フロンティアを求めて蒐集していくグローバル資本主義がもう限界に近づいている、と指摘したものの、では我々はこれからどこを目指して行けばよいのか、終わりかけている資本主義に代わるシステムは何なのか、という問いに対する明確な答えまでは示してくれなかった。本書ではそのあたりまで、もう一歩踏み込んで、あれこれ論じられている。と思う。残念ながらわたくしのアタマでは、理解しきれなかったけども。
21世紀は「新・帝国主義」の時代である、と佐藤優氏なんかはあちこちで書いている。本書でも同じようなことを言っている。そしてさらに、それらの帝国はそれぞれ域内にこもり「閉じて」行くべき時期に来ているのだ、と。それがつまり「閉じてゆく帝国」ということだ。いわばBrexitも「トランプ大統領」も、その現れであると。
我々はそろそろ、近代システムを切らなければならないのだそうだ。いま、近代からポスト近代へと大きく歴史が変わろうとしている時期だというわけだ。その先にある、完成された姿がいったいどのようなものであるかを、少なくともわたくしが生きている間に見ることは叶わないだろう。残念なことだ。