月に数冊ぐらいのえげつないペースで出てくる内田せんせの本。全部を読むわけにもいかないが、それでもやはりこれは、というのがあるわけで、「修業論」を読んでみた。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/07/17
- メディア: 新書
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いくつかの媒体に書いたものを集めて、「修業論ーー合気道私見」、「身体と瞑想」、「現代における信仰と修業」、「武道家としての坂本龍馬」の4部構成となっている。いつものようにだいたい「どこかで読んだ話」なのだが、やっぱり面白いですな。「天下無敵」とはどういうことか。そもそも「敵」とは?「敵」を「私の心身のパフォーマンスを低下させる要素」と定義し、「敵を作らない」ことがすなわち「天下無敵」であると考える。時間意識を書き換え、因果関係の中に身を置かず、入力と出力が同時に生成する状態を作り出す。そのためには我執を去る、「守るべき私」を忘れてしまうことである。なんだかわかったようなわからんような話だ。が、こういう、よくわからん「似たような話」がまた、読むたびに何かちょっとした発見がある。そして、武道の話からレヴィナス哲学まで縦横無尽に往還する知的アクロバシーにはいつもながら驚嘆する。これこそがまた内田せんせのテクストを読む醍醐味でもある。