野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

別に歌人になりたいわけではございませんが

茶屋町丸善ジュンク堂書店へ行ったら、「穂村弘書店」なんていうコーナーがあってびっくり。なんだこりゃ。
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ほむらさんの本以外にも、色々と興味深いラインアップが。
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とりあえず、かねてから目を付けていた「短歌という爆弾」を購入した。

ほむらさんのエッセイを見つけたら、つい手を出してしまう。そしてそのダメな人っぷりに半分のシンパシーを覚えつつ、残り半分でなんぼなんでもそれは無いやろ、とツッコミを入れる。そしてぷぷぷ、と微笑ましく思いながら楽しく読む、というのがいつものことだ。
しかし気をつけなくてはいけないのは、ほむらさんはダメな人だけれども決してアホな人ではないということだ。それは今までも薄々感づいてはいたのだが、この本を読んではっきりした。実にロジカルで硬質な筆致で短歌を論じる。そして作品を切れ味鋭く解説し、評する。ちょっとびっくりするが、これもほむらさんなのだ。
他のところでもよくほむらさんが短歌(というか芸術作品一般)について書いている、シンパシーだけでは不十分、ワンダーがないとだめ(←かなり乱暴な書き方をしてしまったな)というのを、「世界には明らかにもう半分があって、そこには不吉な暗いものが満ちているんだってことを同時に感じさせる詩がやはり本物」(p.26)と言っている。なるほどねえ。
短歌を評する上で、言葉の選び方なんかが「オートマティック」かどうか、というのを重視しているのも面白い。いわゆる定型句みたいなもので自然に出てくるものは「オートマティック」で、読みやすいけど引っかかりがなさすぎて、するっと流されてしまう。だからあえてそうなるのを避けるように、わざと変な表現を選んでみたり。
いやなかなか短歌というのも奥が深いざます。さすがに自分で作ってみようとは思わないけど。