ほむらさんの「整形前夜」を読んだんですな。
- 作者: 穂村弘
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/13
- メディア: 文庫
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いつものように、アカン人っぷり炸裂、と思ったらちょと違う。いや実際にはやっぱり、おおむねアカン人なのだけど、ときどき鋭いぞ。特に「共感と驚異」のあたりとか。
詩とか俳句とか短歌、と小説とのちがいは何か。それは、小説は「わかる」けど詩歌は「わからない」ということ。言語表現の二つの要素のうち、「共感(シンパシー)」優位の読み方をされるのが小説で、「驚異(ワンダー)」が重要なのが詩歌だと。
また「言語感覚」では、「『次の一瞬に全く無根拠な死に見舞われる可能性』に対する感度が詩的な言語感覚に繋がっている」と指摘する。一見無関係で意外性があるのだけど単にランダムではない言葉の組み合わせ、これこそが詩歌には欠かせない。この「意外性」とは、我々の日常的な現実感覚や社会性に基づく常識に対する意外性であり、それは「死」と密接に関係する、と。
うーむなるほど、と思った。すごいぞほむらさん。古本屋に「ちょっと立ち寄って」3時間も入り浸ったり、ベッドで菓子パンを食べながら寝てしまうダメ人間かもしれないけど、決してアホなわけではないのだ。ていうかすごく賢いぞこのひと。いやそりゃわかってましたけどね。こうやってびっくりするような事を説得力のあるかたちで理路整然と述べられると、いやあ参りましたと思うわけですよ。