野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

「いるかホテル」はなんとなく記憶にあるのだけど

羊をめぐる冒険」を読み終わった。

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)


結局、最後まで内容を一切覚えていないということがわかった。いや、覚えていないのではなく、やはり読んでいないのだろう。本そのものを持っていないのだから。
「長いお別れ」を読んだのはいつごろだったかよく覚えていないが、当時その後でこの本を読んだとして、共通点を見いだすことができただろうか。あまり自信が無い。たぶん無理だったんじゃないかと思う。ウチダ先生のおっしゃるように、「頭が良い」とは「かけはなれたものどうしの中から同型性を見いだせる」ということなのだ。
自分の読んだ本がどんな内容だったか覚えてない(これはよくある)どころか、その本を読んだこと自体を覚えていない、あるいは読んでない本を読んだと思い込むようになったら、これはもうアカンかも。今日行った病院の受付のところに認知症に関するポスターが貼ってあった。物忘れと認知症は違います、と。食べた食事のメニューを思い出せないのは、物忘れ。食べたこと自体を覚えていないのは、認知症。やれやれ。
他の村上作品に通じるのはやはり、致命的なかたちで損なわれてしまったもの、永遠に失われてしまったものに対峙する姿勢なんじゃないかと思う。とても大切なものを失ってしまった痛みはそのまま引き受けて、でも、それはもうどうしようもないことなのだから必要以上に騒ぎ立てたりはしない。そして自分の身の丈は正確に把握していて、その範囲内でできることをきっちりやる、そんな感じ。
なんのこっちゃわかりまへんか?そらそうだ。