三浦しをんの文章は、男前だと思う。
以前、何の予備知識もなしに「まほろ駅前多田便利軒」を読んだときは、読み終わってからしばらくするまで、作者が女性だということに気づかなかった。
そんな彼女のデビュー作、「格闘する者に○ 」を読んだ。日曜日に一気読み。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03
- メディア: 文庫
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これまた男前。というか、ちょっとイカツい文章。でも読みやすい。そして主人公は、明らかに作者ご本人のキャラクタを色濃く反映している。抱腹絶倒のエッセイ「人生激場」に書かれている、あのまんま。とにかく妄想全開。わたくし思うのだが、しをんさんって、女性版ほむらさんなんじゃないだろうか。あの強靭な妄想力とか、古本に対する偏愛ぶりとか、ものごとの優先順位の狂い方とか。
「知に働けば蔵が立つ」にも書かれていたが、ウチダ先生は「強い想像力を持つ人は、構造的に幸福である」と述べておられる(以下URL参照)。
http://blog.tatsuru.com/archives/001089.php
いわく、妄想と想像は違う。妄想というのは記号的なものであり、想像というのは具体的なものである。想像は、言語化できないものも含めて具体的な細部を含む、と。しかるに、しおんさんやほむらさんの「妄想」は、もはやウチダ先生の分類における「妄想」とは違うものであり、むしろ「奔放な想像」というべきものではないかと思うのだ。
幸せになってくれ、しおん。鉄郎は心から祈った。