やっと「昨日までの世界」読み終わった。
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/02/26
- メディア: ハードカバー
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下巻では他に、宗教、言語、健康というビッグ・イシューを扱う。デンキウナギの進化になぞらえた宗教の進化の歴史についての説明はなかなか面白い。そう、宗教の機能も進化していっているのだ。
実に立派な内容なのだけど、実は翻訳がちょっとばかし残念。いや、文章そのものはこなれていて読みやすいのだけど、ちょっとした間違いが散見される。たとえばバイリンガル/マルチリンガルの利点について語る部分で“アメリカ人夫婦の多くは、ひとつ以上の言語を知っている”(p.358)という記述があるのだけど、これは文脈上あきらかに「ひとつより多い」という意味だから、「ふたつ以上」ないしは「ひとつより多くの」(不自然な表現だけど)と書くべきだ。greater thanは「より大きい(多い)」であって「以上」ではないのだ。どうも以上/より多い/以下/未満の使い分けが理解できてないんじゃないだろうか。細かいことかも知れないが、このあたりの気遣いはけっこう重要だと思うのだけどな。
さらにもうひとつ仰天したのは、「訳者あとがき」での、筆者についての“その博識と隻眼をもって”(p.368)という記述だ。隻眼て… ひょっとして慧眼(ないしは炯眼)と言いたかったんじゃないかと思うんだが、どうでしょ。
実に惜しいですな。いや、本の内容はすごいですよ。