野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

Western, Educated, Industrial, Rich and Democratic=WEIRD

ジャレド・ダイアモンドの「昨日までの世界」は、21世紀版「悲しき熱帯」といったところか。
国や地域によって文明の発達の度合いに差があるのはなぜか(「銃・病原菌・鉄」)、文明はいかにして崩壊していくのか(「文明崩壊」)、といった問いに対して、各分野からかき集めた膨大な知見をもとに、執拗な考察を加えたのが前二作。
今回は、数千年にわたって存続してきた、数十人から数千人規模の、文明化・工業化されていない社会(筆者の言葉で言えば「伝統的社会」)について。

昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

伝統的社会の規範や習慣を研究することで、工業化された大規模な文明社会における諸問題を解決するヒントを見つけられるのではないか、というわけだ。なるほどそうかもしれない。もともと規模に差があるから、そのまま伝統的社会の真似をしてもダメだけど、「なぜそのようになっているのか」というのをちゃんと考えてみるのは意味がありそうだ。
とりあえず、我々が当たり前のことだと思っている社会規範というのは、いちど疑ってかかったほうが良さそうだ。いかなる種類の社会であるか、によってそんなものはまったく違ってしまう。
それにしても相変わらずマッシヴだ。ジャレド本を読むには、それなりの覚悟がいる。今までに比べれば、多少ボリュームが減ったとは言え、それでも上下巻に分かれてトータルで700ページを超えるわけだから。一週間以上かかってやっと上巻が終了。