野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

モアイの運び方

ずっと気になってはいたのだけど、あまりにマッシヴすぎて、なかなか手を出せずにいたジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」。ついに着手しましたよ。

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)


いやあやっぱりこれはヘヴィ級ですわ。上巻だけで2週間もかかってしまった。
朝日新聞の「ゼロ年代の50冊」で1位になった「銃・病原菌・鉄」では、「なぜ、国や地域によって文明の発達の度合いに差があるのか?」という問いに対して、歴史学、考古学、遺伝子工学、地質学、生物学、など、ありとあらゆる手段を用いた考察により「それは結局、地理的な条件によるものである(生物学上の優劣は関係ない)」という結論を導き出した。
今度は、さらにその先に目をつけた。過去に隆盛を極めたいくつかの文明は、なぜ崩壊してしまったのか。そこには何か、共通の要因と言えるものがあるのか。
そこでまずは、滅亡してしまった社会、マヤ、イースター、ノルウェー領グリーンランド、等について、その崩壊の過程を克明に観察していく。観察といったって、昔の話なんだからもちろんそのまま観ることができるわけではない。少しばかりの痕跡、地層だとか化石だとか遺跡だとか人間や動物の骨だとかそういうものを、質量分析とか蛍光X線元素分析とか放射性炭素年代測定とか、そういう技術を駆使して解析するわけだ。
とにかく上巻は、それで終わり。それだけなのだけど、これがまた500ページを超える、ものすごいボリュームなのだな。この執拗さがジャレド・ダイアモンドの偉大なところだとは思うとが、読む方にとってはいささかキツい。もうちょっと簡潔にまとめてもらえるとありがたいのだが… などと罰当たりな感想を持ってしまったというのが正直なところだ。だからどうだっていうんだ、という話につながって行くはずの下巻に期待。