以前にも書いたけれども、どうも最近やたらと「知のナントカ」というタイトルをつけて著名人のインタビューを集めた、安直な本が多すぎやしないか。
オリジナルはたぶん「知の逆転」か「知の挑戦」ぐらいで、それがどれほど当たったのかしらないけど、とにかくもう雨後のタケノコのごとく次から次へと。
などと文句を言いながらも、結局はつい手を出してしまうわたくしのような人間がいるから、こういう便乗商法(←ヒドいこと言うなオイ)があとを絶たないのだなぁ。
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,ダニエル・ピンク,アダム・グラント,セス・ゴーディン,フィル・リービン,ヤン・チップチェイス,ジョン・ライス,アニタ・エルバース,趙玉平,マイケル・モーリッツ,ボリス・グロイスバーグ,テレサ・アマビール,オリビア・ラム,ブルクハート・シュベンカー,ケビン・ファイギ,カリム・ラシッド,マイケル・ノートン,ロルフ・ドベリ,田坂広志,岩井理子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/02/06
- メディア: 新書
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とりあえずジャレド・ダイアモンドという名前はなかなかeye-catchingだ。それでついつい手を出してしまったという人をわたくしは一人知っている。ってまぁこの俺様のことだけど。
さて、延々と悪口を書き連ねてきたが、それではこの本がクソなのかというとまったクソんなことは無い。
ジャレド・ダイアモンド以外のインタビュイーはすべて、わたくしの知らない人々であるが、これはひとえにわたくしの無知によるものであり、ジャレド・ダイアモンドが客寄せパンダであるなどというつもりは寸毫も無い。いや本当に。
世界を「解釈」するのではなく、「変革」するための知性。書物で得られた知識ではなく、豊かな経験から掴んだ智恵であり、答えのある問いに対して最短・最速で答えを出す能力ではなく、答えの無い問いお問い続ける能力である、云々。などということが書かれている、田坂広志氏による序文が秀逸だ。もちろん、本文のインタビューも興味深いものがある。ドイツの「職人」資本主義について語るブルクハート・シュベンカー。ドイツ全企業の99%は中小規模のミッテルシュタントであるという。このミッテルシュタントの競争力というのが、ドイツ製造業の底力だというわけだ。
あと、ジャレド・ダイアモンド以外は知らない名前ばかり、と書いたがダニエル・ピンクという名前と「ハイ・コンセプト」というキーワードは見たことがある。彼の著書はちょっと読んでみたい気がする。
てなわけで、毎度毎度同じような便乗商法に乗せられてみるのも、そう悪くはないってことですよ。