「アースダイバー」を読み直してみた。
やっぱり良いなあ。まず、今ある東京の姿について、「なぜそうなっているのか」を、地形を元に縄文期にまで遡って考える。というコンセプト自体が斬新だ。それに加えて、やっぱりこの中沢さんの文章の自由さと、知的な中にもそこはかとなく感じられる色気、みたいなものが魅力で、この本の導入部からぐいぐい引き込まれていく。縄文海進期に、海に突き出していた岬の突端は、異界との出入り口として特別な意味を持つ。そこには神社や墳墓が多く建てられている。またそのころ海面下にあった場所は、後に湿地帯として独自の「湿った文化」を持ったり、あるいはそのまま池や川になったりしている。こんな話を読むと、不思議な胸騒ぎと静かな興奮を覚える。