野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

An unsound mind in a sound body

前回日本に出張した時に、Kindle化されてない本をあれこれ買い漁ったうちのひとつが「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」だ。

500ページを超えるインタビュー集。ほとんどメディアに露出することのない村上春樹のインタビューが、15年分(1997-2011)とはいえ、そんなにあるのか?と少し驚いた。半分以上は海外の雑誌等によるものだ。
作者による作品解説、あるいは謎解き。というようなものはほとんど無い。謎は謎のままだ(村上作品の読者には、謎をそのまま飲み込む度量を要求されるのだ)。どちらかというと、作家としての姿勢、信条、また執筆における方法論、といった内容がメインだが、これはこれで興味深い。以前に読んだ「走ることについて語るときに僕の語ること」に書かれていたのと同じ内容も何度となく語られる(当たり前だ)のだが、その中のひとつが、小説を書くには体を鍛えなければならない、ということ。50歳ぐらいになってから、体力増強のために自転車に乗り始めた忌野清志郎は「不健全なことをやるためには身体が健康でなければならない」というようなことを言っていたように記憶している。村上さんもまた、「芸術的な仕事をするのは基本的に不健康なことです。だから芸術家はそれを補完するために、健康的な生活を送るべきだというのが僕の意見です」(p.442)と語る。ああそういえばミックジャガーも毎日12km走り、おまけにフィットネスであれこれエクササイズもやり、朝食はスムージー、みたいなずいぶんストイックな生活だったような。そんなのロッカーじゃねえ、とおっしゃる向きもあるかもしれない。が、時代は変わってきているのだよ。