野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

しかし昭和な会社ですな

TVで『白ゆき姫殺人事件』というドラマの予告編だか本編だかをやっていて、チラッと見たらなんとなく面白そう。あ、湊かなえ原作ですかなるほど。じゃちょっと読んでみよう。てなわけで。

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

 

化粧品会社に勤める美人OLがメッタ刺しにされて殺された上に、灯油をぶっかけて燃やされる。というど派手な殺人事件。この事件についての証言やら感想やらその他諸々、様々な人々による語りによってこの小説は構成されている。同じ事象に対しても、人それぞれのバイアスや思い込みによって認知のされ方は違ってくる。ほとんど誰も嘘は言ってない(言ってる奴もいるけど)のに、事実と異なる話がどんどん広がっていく。冤罪ってのはこうやって作られるのだな。
虚実取り混ぜた噂がSNSを通じて広まっていく、なんてあたり今時の小説らしい。そのSNSの書き込みのスクリーンキャプチャ風なものを「参考資料」として巻末に付けているのもなかなか面白い。ただしKindleで読むと字が小さくて、おっさんには少々キツい。
まあそれでも面白い。言ってることを真に受けたらエラい目に遭う、てな人が時々いるよねえ、ということを思い出させる。さすがイヤミスの女王。