『さよならドビュッシー』は、ユルい感じのタイトルのわりになかなか凄惨なお話だったと記憶している。主役ではないけれどもあの物語の中で重要な役割を演じたのが岬洋介。どうやら中山七里作品の中には彼を主役にしたシリーズがあるらしい。
でこの『どこかでベートーヴェン』というのがその岬洋介シリーズのうちのひとつ、というか、いわば「岬洋介ライジング」という感じで、彼の高校時代の逸話を同級生の鷹村亮くんが語る、という体裁になっている。
どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 中山七里
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2017/05/09
- メディア: 文庫
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なんというかもう、岬洋介の出木杉くんぶりにはちょっとばかしうんざり。そう、まるで千里眼シリーズの岬美由紀のようにね。あいつらひょっとして兄妹ちゃうんか(んなこたぁないか)。いやでもね、なかなか面白い話なんですよ。
それにしても冒頭では、なんか知らんが岬洋介が人々をテロから守った、みたいなニュースから始まるんだけども、その詳しい内容については一切触れられない。これってつまり、そういう話がまた別にある、てことなのか。つまり岬洋介シリーズ。やれやれ。
ちなみにボーナストラックでの主役は検事やってる岬洋介の父親なんだけども、そこに弁護士として御子柴礼司の名前が出てくる。あ、それは『贖罪のソナタ』。あの小説ではピアノソナタ23番が出てくる必然性がまったく理解できなかったことを思い出した。