『『罪と罰』を読まない』を読んだらずいぶん面白かった。『罪と罰』を読んだことのない4人が集まって、断片的な情報をもとにストーリーの詳細を推理する、という内容だ。わたくし自身はずいぶん昔に読んだ。ひょっとしたら2回ぐらいは読んだかもしれない。けれども、「ラスコーリニコフが強欲な金貸しの老婆を殺害する話」で、ロシア人てのは同一人物が三つも四つも違う名前で呼ばれていて、ただでさえ名前が覚えにくいのにややこしくてたまらんな、と思ったこと、そしてやたら長いけども意外と面白かった、ということぐらいしか記憶しておらず、ストーリーの詳細がまったく思い出せない。そんな状態で『『罪と罰』を読まない』を読んだのだが、この本の後半はいわば「答え合わせ編」で、それまでさんざん妄想をふくらませて推理をし、それから実際に『罪と罰』を読み、推理した内容の検証を行う、ということになっている。そこまで来て、『『罪と罰』を読まない』を読むのを中断した。過去に読んだことがあるとは言っても、ほとんど内容を覚えていないのだから『『罪と罰』を読まない』の4人とほぼ条件は同じだ。つまり、ここでわたくしも『罪と罰』を読んで内容を把握しておかないと、これから先を楽しめなくなってしまうではないか。
というわけで、ものすごく久しぶりに『罪と罰』を引っ張り出してきて、とりあえず上巻を読んだ。
- 作者: ドストエフスキー,工藤精一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/06/09
- メディア: 文庫
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てなことはどうでも良いのでとにかく読んでみたのだが。
いやーすごい。登場人物がそろいもそろって、とにかくロクでもない。誰一人として共感も感情移入もできない。ラスコーリニコフは、熱病のせいもあるとはいえ、かなり情緒不安定、というかもうこれはほとんどキ〇ガイじゃないか。「マメ父」ことマルメラードフも、「馬」ことラズミーヒンも、その言動はあまりにエキセントリックで、まったく理解不能だし、延々と続くラスコーリニコフの独白は、読んでいてとにかくイライラしてくる。ええ歳こいて(といっても20代前半?)いつまで中二病引きずってけつかんねん、とドツいてやりたくなる。ああもうどうするのよこの話。とぐったりしつつ下巻へ続く。