トマス・ハリスの新作、ということなので、どんな内容かよく知らないままに買って読んだ『カリ・モーラ』。
- 作者: トマス・ハリス
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/08/09
- メディア: Kindle版
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わたくしはといえば、いやそんなに悪くはないでしょ、けっこう面白いかったよ、というところ。もちろんレクター博士シリーズのあの重厚かつ格調高いサイコ・スリラー、をそのまま期待すると、それはだいぶ違うよな、ということになるわけで、だからまあ文句言ってる人たちの気持ちもわからなくはない。
これまでのハリス作品はすべて映画化されているが、本作もずいぶんハリウッド映画的というか、むしろ映画化を意識して書いてますか?と思わされる部分が多々あり、そのあたりに若干のあざとさを感じなくもない。まあ面白いから良いのだけど。
それにしても主役がレクター博士から若い女性であるカリ・モーラに変わるっていうのはずいぶんな落差だな、と思いつつ今気づいたけど、『羊たちの沈黙』のクラリスも若い女性だったし、カリはその路線という感じもあるな。
でもハリウッド映画っぽい割には、グロテスクな悪役ハンス・ペーター・シュナイダーとの最終対決は、ちょっとあっさりしすぎじゃないの?という気はする。やっぱり時限爆弾の起爆装置を解除するのは爆発2秒前だし、銃撃された悪役はもう一度生き返らないとね。