出た当時から気になっていた『人口減少社会の未来学』になかなか手が出せないうちに、とうとう文庫が出てしまった。
『48億の妄想』という小説がある。初版が1983年。その当時の世界人口は48億人だったのだ。それが2019年にはすでに77億人にまでなっており、今世紀末には100億に達するのではないかという推計もある。その一方で、先進国では人口が減り始めている。特に日本は深刻な状況である、なんてことはもう何十年も前からわかっていたことのはずだが、どうもまだまだいろんなところで、昭和の高度成長期と同じような考え方で制度が設計され、システムが運用され続けているようだ。
そろそろ現実に目を向けて、いろいろちゃんと考えようぜ、ということで各方面の識者があれこれと語っているわけだが、「人口減少」というお題ひとつでも、まあ実に多種多様な視点や切り口というのがあるものだなあ。
単に人口減少といっても日本の場合は少子高齢化で、問題は歪な形の人口ピラミッドである。しかしそれも、あと30年から40年もすれば今の高齢者はほとんどいなくなっており、年齢分布そのものは健全な状態に近づくだろう、などと書かれており、なるほどタイムスケールを変えれば問題の本質も変わってくるのだなと感心してみたり。
また、マクロに見ると人口は減少しているが、地域別に、さらに年齢別に、増える(入ってくる)人口と減る(出て行く)人口、そして世帯あたりの出生数その他諸々を細かく見ていくと、何となくこうだろう、と思っているのとは違う事実があれこれ見えてくる、というのも興味深い。
それにつけてもまず心配なのはこの俺様の老後ですよ。これからどうなることやら。とりあえず寝たきりにならないように、せっせと筋トレでもするか。