野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

越前屋vs金森屋

誰が買ったのか知らんが、藤沢周平の小説が実家に3冊ほどあった。先日実家に行った際に持って帰り、とりあえずそのうちの一冊『麦屋町
昼下がり』を読んでみた。

短編が4篇。よくもまあ、これだけ似たような話ばかり書けるものだと感心する。
けっこう剣の腕は立つのだけど、過去にちょっとやらかしたことがあって、今は冷遇されている。そんな主人公が、藩の不正にまつわるゴタゴタに巻き込まれてああだこうだ。と、そんな話。
地方の藩士なんてのはもう、サラリーマンみたいなもんだな。というかそのまんま公務員か。
なんだか、池井戸潤の小説みたいだ。いや、池井戸潤の小説が実はこういう時代小説を下敷きにしているのかもしれんな。
同じような話ばかり、と書いたが「三ノ丸広場下城どき」では主人公の妻が怪力だったり、そもそも「榎屋敷宵の春月」では、ぱっとしない藩士の妻が主役で、しかもかなりの遣い手で大立ち回りを演じたりと、その辺がなかなか楽しかったりする。
そんなわけで、やっぱり面白いな藤沢周平。残り2冊もまたいずれ。