野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

今でもそんなに変わらんかもね

『日本のいちばん長い日』はドラマとか映画とかになっていたはず。でも観たことはない。
漫画もあるらしい。原作はノンフィクションで、第二次世界大戦における日本の敗戦についての話、というのはなんとなく知っているが、ちゃんと読んだことはなかった。
ぼちぼち読んどいた方が良いかな、ということで「決定版」をKindleにて。

第二次世界大戦は日本がポツダム宣言を受諾し無条件降伏をして終わった、と歴史の授業で習った。
終戦記念日は8月15日だ。でもポツダム宣言の受諾は1945年8月14日。で、15日が玉音放送
その1日の間に何があったのか。
ものすごくいろんなことがあったのだ。だから「いちばん長い日」なのだ。
ポツダム宣言受諾を決定してから玉音放送までの間、無条件降伏を認めない一部の陸軍の将校たちによるクーデターがあった(恥ずかしながらわたくし、そんなことがあったとは知らなかった)。
ポツダム宣言受諾の決定から玉音放送までの24時間に発生した、クーデターの企てと鎮圧、それと同時並行的に進行する玉音放送の準備、その他諸々。これらを時系列的に追ったノンフィクションが、作り込まれた物語のようにスリリングなのだな。そしてまた文章が格調高い中にもドライブ感があって心地良い。
物語は1945年7月27日(日本時間)のポツダム宣言の発表から始まっている。それを受けて、日本での政府と軍とであーだこうだとぐちゃぐちゃやって貴重な時間を浪費する様子がまた、何ともげんなりさせられる。
そして、宣言受諾の決定後、前述のごとく軍の一部でクーデターを起こそうとする動きが同時多発的に発生する。宣言受諾は天皇による「聖断」であり、大多数は「承詔必謹」としてそれを受け入れる。だが一部に、これは奸臣により誤った判断を下させられたものである、ここはひとつ君側の奸を除きご聖断をやり直していただかねばならない、徹底抗戦あるのみである。てなことを言う輩がおるわけだ。
そんな理屈を言い出したら、「聖断」とか何とか言いながら、自分の気に入らなければ何でも「君側の奸である」と言い募ってひっくり返せる理屈になる。まったく帝国陸軍ってのはロクなもんじゃないな。
最終的には鎮圧されたとはいえ、そのクーデターで近衛師団長ほか数名が殺害され、クーデターをやらかした青年将校の数名も自害、阿南陸相は割腹自殺。当時の人命というのはまあ実に軽いものだ。大日本帝国も野蛮だな。