野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ムクゲもキキョウもみんなアサガオってそんな

映画の『グラスホッパー』を観直したので、あらためて原作も読み直した。

映画を観たばかりなので、そこそこストーリーは覚えていたのだが、原作はまただいぶ違う話だ。
とりあえず、殺し屋の「蝉」に耳鳴りの症状は無い。
最後に蝉が自分の耳をナイフで切ってしまうなんてのは、映画側で『レザボア・ドッグス』をパクった演出だろう。
もっとも、そんな細かいところをあげつらい始めたらキリがないほどに、映画は違う話になってしまっているのだけど。
でもバッタの話はちゃんと出てきたな。
バッタは密度の高い群で暮らすと、体が黒くなり、性格も凶暴になる。これを群生相という。
ってほんまかいな、と思ったが本当の話なのだな。こんな大事な話を覚えてなかったなんて。
あらためて考えてみると、殺し屋たちがどんどん死んでしまう、という辺りはやっぱりちょっと『レザボア・ドッグス』っぽいところがあるな。殺し屋たちは色ではなくて虫(蝉、スズメバチ)や動物(鯨)、植物(槿)の名前が付いているけども。
そもそも伊坂幸太郎作品というのは全体に、どことなくタランティーノ映画っぽい雰囲気がある。たとえば登場人物の会話のどうでも良さ加減とか。
でもこの原作で一番大事なメッセージは「ホテルの朝食バイキングでは、後先考えずに目について食べたいと思ったものをどんどん取っていけ」っていうことだろう。違うかな(たぶん違う)。