野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

育ってきた環境が違うから

伊坂幸太郎の『オー!ファーザー』という小説があるのは知っていたが、そのタイトルの由来はマドンナの"Oh Father"という曲だとは知らなかった。というかそもそもそんな曲があること自体を知らなかった。この曲のテーマというのが児童虐待とそれによるトラウマだってんだからなかなかヘヴィじゃないか。
しかし小説の方は、そんなのまったく関係なしにお気楽だ。

いや、よく読んでみると内容はまったくお気楽じゃないな。複雑な家庭環境の高校生と、社会不適合者と裏社会の人々と悪徳政治家が絡んであれこれ、みたいな話で。
なのに、どこかとぼけていて、なんともお気楽なトーンで貫かれている。
大体が、父親が4人いるという設定が荒唐無稽だ。しかしそれによって、良い塩梅でリアリティを失わせることで、こういう雰囲気を醸し出しているのかも。
それにしてもこの4人の父親というのは、そのシンボリックなキャラクターも含めてなかなか絶妙だな。
高校生男子は勉強とスポーツができればそれで十分、ではなく、加えて大事なのは女の子にモテることと勝負強さである、ということだ。高校生に限らんかもしれんがね。