野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

おっさんてのはよ

『持続可能な魂の利用』が文庫になっている。

修復不能なレベルまで少子化が進み、破綻した日本は、おっさんのいない世界になっている。そんな未来から、おっさん地獄を振り返るかたちで語られるこの話は、ちょっと『1984年』っぽい。
つまりおっさん地獄というのはそういうディストピアであると。
面白いなと思うのだけど、何だか手放しには楽しめないというか、痛快なのが8割、あと2割ほどの疾しさと後ろめたさ、なんかすみません、みたいな感じ。
おっさんってロクなもんじゃないな、とげんなりしつつも、だけど自分だって実際にはおっさんで、この話に出てくるような「おっさん地獄」を地獄たらしめている、パターナリズムミソジニー、セクシズム、等々とわたくしは無縁でございますの、と思い込めるほどにはナイーヴではないつもりだ。
そういうものに嫌悪感を覚える一方で、実は自分でもやっぱり持っていて、できるだけ表には漏れてこないように注意している、ぐらいのところが本当なんじゃないかという気がする。
はい、すみません。気をつけます。