野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

マウの父はフォッフォ

元日の夕方に、録画してあった『ハウス・オブ・グッチ』を観ていたら、何やら長周期の振動で揺れ、気色悪いなおいと思っていたら、それがつまり最大震度7能登半島地震で、正月早々に物騒なことであった。
まあそれはそれとして映画の方はずいぶんと面白く、どうやら原作があるようだってんで早速Amazonで注文して、読んでみたわけだ。

映画ではどちらかというとパトリツィアが主役な感じだが、原作ではむしろマウリツィオによりフォーカスが当たっており、さらに、マウリツィオとパトリツィアの絡みがはこの原作のなかでは部分的であり、それ以前のグッチオ・グッチによる創業と、その息子アルドとロドルフォによる業容拡大であったり、マウリツィオの死後ドメニコ・デ・ソーレとトム・フォードのコンビによる体制でのLVMHとの攻防、てな話まであったりして、まあ実に読み応えがある。
パトリツィアのややこしい系キャラクターとマウリツィオの経営者としてのダメさ加減は映画以上に容赦ない感じで描かれている。ちなみにマウリツィオの写真も載っていたのだが、映画でのビジュアルそのままなのには驚いた。というか当然ながら映画の方であのビジュアルに寄せたということなのだろうけど。
映画で中心的に語られるパトリツィアとマウリツィオの話も面白いのだけど、マウリツィオがグッチの経営を傾かせて行く様子、そして後半部分のPPRとLVMHのグッチ争奪戦なんかはもっとエキサイティングだ。世界のハイブランドの買収合戦ってのは、まあなかなかすごいことになっているのだなあ。