コラムニストの小田嶋隆さんが亡くなられたのは2022年6月。実に残念なことである。
あれからもう2年も経つのか。
『諦念後』は遺作、ということなるのだろうか。亡くなる直前まで連載されていたコラムをまとめたものだ。
日本の多くの企業では、還暦つまり60歳で定年退職、としている(最近は再雇用で65歳まで、というところも結構あるけど、まあそれはそれとして)。
60歳で定年した後、若い頃のような気力も体力もなく、もちろん収入だって減り、そうするといろんな事を諦め、割り切って、それでも心穏やかに過ごすにはどうすれば良いのか。実際のところわたくしだって他人事ではないわけで。
ネタは、昔やっていたことに再トライしたこと、新たに体験してみたこと、わざわざでなくても普通にあること、など様々であるが、いずれも独自の視点からの発見や見解が語られていて面白い。それがつまり「オダジマ流」ということなのだけど。
ところで村上春樹の小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』 に次のような一節がある。
それから私は計算士を引退したあとの生活について考えた。私は十分な金を貯め、それと年金をあわせてのんびりと暮らし、ギリシャ語とチェロを習うのだ。車の後部座席にチェロ・ケースのせて山に行き、一人で心ゆくまでチェロを練習しよう。
なかなか魅力的だな、と思ったので非常に印象に残っている(その割にはギリシャ語ではなくラテン語と間違って覚えていたが)。
しかし、これを実現しようと思ったら、引退する前からそれなりに準備をしておかないといけないだろう。高齢になってから何か新しいことを始めるなんてのは、かなりの気力・体力を必要とすることだと思う。
というわけでわたくしも、そろそろ準備が必要かなと思っている。
何の準備かって?まずはそれを考えるところからかな。