書店を冷やかしていて『大阪がすごい』なんていう本を見つけた。
ちょいちょいあるよねこういう本。などと思いつつ、ぱらぱらと立ち読みしていると大阪には「天使のダミ声」と呼ばれるブルースシンガーがいる。元憂歌団の木村充揮だ。そんな木村の歌に、「天王寺」という曲がある。
(p.219)
などと書いてある一節を見つけてしまった。おお、これは。と思って買い求めた。たったそれだけの理由だ。
大阪の地形の話、古墳時代から太閤秀吉までの歴史、商業都市としての大阪の発展、大阪の私鉄の話、大阪の各地の特色・人の気質、そして、大阪の未来。色んなことが書かれている。
地形の話は例によって上町台地が云々かんぬんで、またその話でっかというのが正直な感想なのだが、ブラタモリについては触れられているものの、大阪アースダイバーにも大阪高低差学会にもまったく言及されず、もちろんそれらの関連書籍は参考文献にも載っていない。そんなんあんたひょっとしてモグリちゃいますか、と失礼な感想を抱きつつ読み進める。
一番面白かったのは鉄道の話かな。海水浴客の奪い合いで仁義なき闘いが繰り広げられたという、南海電鉄と阪和鉄道(現在のJR阪和線)のバトル。近接する羽衣駅と阪和浜寺駅での乗客の呼び込み合戦はガチのどつき合いに発展し、南海電鉄は羽衣駅を通過する電車をわざとノロノロ運転させて「開かずの踏切」を作り出し、客の動線を遮断するなど、なかなか壮絶なことになっていたという。ほんまかいな、という感じだが、まあ昔はそんなこともあったんでしょう。
1970年の大阪万博については、イベント自体は成功だったけれども、それで何か文化とか産業のようなものが残ったかというと、実はあんまり無い、とのこと。経済波及効果は約5兆円と言われていたらしく、確かに5兆円は動いたのかもしれないが、それはいつの間にかどこかに消え、大阪が潤ったわけではないそうな。
仮にイベントとして成功したとしてもそんな始末なのに、どう見てもうまくいきそうにない来年のアレ、どうするつもりやねん。