野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

オラがしっかりせねば

「正義の反対は悪なんかじゃないんだ。正義の反対は『また別の正義』なんだよ。」
って、そんなの一度も言ったことないのに、「野原ひろしの名言」ということになってるのって、あれいったい何なんだろうな?
誰が何のために、そんなガセネタを広めた?
あと、「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。」っていうのもあるらしい。『ベイビーわるきゅーれ』でやってた。面接先のコンビニ店長が引用して(言ってないんだから引用ってのもおかしいが)、イラっときたまひろに(妄想の中で)ぶっ殺されてたやつだ。
まあそれはそれとして。
何かの行きがかりでたまたまテレビで観た『検察側の罪人』という映画がやたら面白くて、これ原作ないんかな、と思って調べたらあったので、早速その週末に書店へ行き、上下2巻耳揃えて買い求めた。

しばらく寝かしていたけども、読み始めたらほぼ一気読みだ。
今まで、刑事あるいは警察官僚が主役の小説というのは、わりとあれこれ読んできたと思うけど、検事が主役、というのはたぶん初めてだと思う。
検事あるいは検察の仕事ってのはこういう感じなのかー、というのがちょっと新鮮。
もっとも、検察がどんな風に取り調べをして、どういう理屈でもってどのように「事件」を作り上げていくのか、という過程については、佐藤優氏の著作で被疑者側の視点から書かれたものを読んだけど。
数え切れないほどの事件を扱ってきた百戦錬磨の検事でも、いざ自分で犯罪を犯すとなったら、本人はめっちゃ気をつけてるつもりでも、あちこち穴だらけスキだらけで、あっさりネタを挙げられ逮捕されてしまうものなのだな。餅は餅屋、というやつか。いやちょっと違うか。
映画の方は、いろいろと工夫をしながらも、基本的にはけっこう原作に忠実と言えるんじゃなかろうか。どちらも実に良い出来だったと思います。