野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

サルコジもオランドもなで斬りだ

お、エマニュエル・トッドやんけ。と思って、『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』なんていう本を買った。

エマニュエル・トッドソ連崩壊や金融危機を、人口動態の分析により予言していたという人類学者だ。前から気になっているが、まだ著作は読んだことがない。この本も実は彼の著作というよりインタビュー集なのだが、まあ手始めにはよろしかろう、ということで。
90年代に東西冷戦が終結し、「新・帝国主義」の時代となった21世紀。アメリカにかつてのような勢いはなく、次の覇権を握るのは中国かロシアか?と思っていると、実は「ドイツ帝国」がヤバいんだと。EUって実はドイツ帝国なのだ。うむ、言われてみれば確かにユーロ圏経済でドイツって一人勝ちだし、昨今のIndustrie4.0なんてのも産業とかテクノロジーにおける帝国主義の臭いがするし。見開きページにいきなりどーんとヨーロッパの地図があり、各国を「ドイツ圏」「自主的隷属」「ロシア嫌いの衛星国」「事実上の被支配」などと分類して色分けし、“「ドイツ帝国」の勢力図”なんて書いてある。
これ、トッドが言ってるんじゃなければ、「はいはいもうわかったから早く宿題やんなさい」と一蹴してしまいそうな話だが… 残念ながら、わたくしにはトッドの主張の当否は判断できかねる(わたくしにそのような見識はございません)。時々、それあんたすげえ思い込みとか妄想で言ってないか?なんて思いたくなるような(実際にそう意味の疑問を口にしてしまっているインタビュアーもいる)内容もあるのだけど、それもまた一方では、すごくまっとうなことを言っているようにも思える。とりあえず、トッドの語り口ってけっこうワイルドで、しかも内容は辛口で過激。まあ平たく言えば、少しばかり(いや、かなり?)口が悪い。スラヴォイ・ジジェク並みに行儀が悪くて、ノーム・チョムスキー並みにエキセントリックだ。って、わたくしのジジェクとかチョムスキーに対する認識というのがまた、ちょっと歪んでいるような気もするけど。