野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ラプラシアンと久闊を叙す

ちくま学芸文庫に『物理現象のフーリエ解析』なんていう本があるのを見つけた。うわ、そんなもん文庫にするのか、と興味を覚えて、つい手を出してしまった。

物理現象のフーリエ解析 (ちくま学芸文庫)

物理現象のフーリエ解析 (ちくま学芸文庫)

いやね、フーリエ解析だって別にまったく知らない訳じゃなし、まあ何とかなるだろうと思ったけども、かなり手強いですな。大ヤケドですよ。第1章(『フーリエ級数』)、第2章(『フーリエ変換』)ぐらいまでは、まあ何とかなる。第3章の『フーリエ級数の応用』あたりでもう、かなり雲行きが怪しくなってきて、第4章の『フーリエ変換の応用』ではもうほとんどお手上げだ。以降の章(『光・X線とプラズマ』、『線形応答理論』、『確率過程』、そして『量子論への応用』)は、導入部分だけはなんとかわかるが、少し話が込み入ってくるともうさっぱりで、数式を追って行くこともできない。長い間使われておらず錆び付いていた脳の特定部分が軋んで煙を出している。
いや、いかにも昔なら理解できたよう書き方をしてしまったが、そもそも現役の大学生の時にこれを読んでも、やっぱり理解できなかったんじゃなかろうか。ラプラシアンとかdivとかgradを見て懐かしく感じると同時に、電磁気学の単位を落としたのを思い出したぞ。
量子論への応用』の章では旧友ハミルトニアンに再会した。ハミルトニアンの前にそもそもハミルトン関数というのがあったのだな。そんなことも知らずに、そしてマクスウェルの電磁方程式もロクに理解しないままに、やれ波動関数固有ベクトルだなんてやっていたわけだ。物理学の基礎の、本質的な部分もわからずに量子力学や分光学のメソッドを弄し、小賢しいことをあれこれ述べたてていたのだと思うと、どうにも恥ずかしい。
まーアレだ、おっちゃんもたまにはこういう刺激を加えた方が良いよね。
それにしてもグリーン関数って何なんだこれ。