野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

みなさん太っ腹よね

"OpenIntro Statistics"はアメリカのデータサイエンティストたちによって書かれた統計学のテキストで、こいつは何とPDFが無料で配布されている
それだけでも大概]すごい話だが、その日本語版PDFもまた無料でダウンロード可能となっている。
コロナ禍により大学もオンライン授業が増えたが、統計学についてはオンラインで利用できるマトモな日本語の教科書がなかった、というのが契機となり、日本語訳がなされたということらしい。
一応は紙の本もあり、比較的安価で販売されている。PDFの方には章末の練習問題の解答が無いが、紙の本にはをの解答も載っているという特典付きだ。

えらい時代になったもんだなと思いつつわたくしもPDFをダウンロードして、Kindleに入れて読んでみた。
ずいぶんとしっかりした内容だ。実際のところ数学的な部分はかなり端折っており、数式の証明などは皆無である。が、その辺は「データ分析のための統計学」の本質ではない。それより、根本的な部分の思想みたいなところをみっちりと解説している。そして、例題とその解説も豊富に用意されている。章末の練習問題はかなりのボリュームだ。前述の通り解答は紙の本にしか書かれていないけども。
難を言えば、日本語はちょっとあやしい、というか間違いが多い。が、不思議なことにあまり気にならない。先日読んだ統計学の教科書の間違いは致命的なものが多く、かなりストレスを感じたものだが。
これも本当は、練習問題をじっくり解きながら読めば、さらに理解が深まったことだろう。しかし今のわたくしには、そんなパワーも根気もない。なので練習問題はすっ飛ばしてざっと読んだのだが、それでも通読するのには約1ヶ月を要した。
統計学の教科書(あるいは解説書)を読むのはこれが3冊目であるが、今まででベストであると思う。この本より前に読んだあの2冊は、一体何だったんだ。
そういえば"The Feynman Lectures On Physics"(『ファインマン物理学』)もまた、今やオンラインで無料で読めるのだった。もっともこちらはまだ日本語版は無いようだが。
本当にまあ、えらい時代になったものだ(同じことを何度も言ってしまう)。