野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

妖怪だったのか…

昨夜の、JR高槻駅で電車の運転再開を延々待ち続けた件(昨日のエントリ参照)。
あの直後に電車が動きだし、なんとか家に帰り着いたときには、もう午前0時を回っていた。
事故が発生したのは22時20分ごろとの事だったので、運転再開まで1時間以上もかかったことになる。それよりもっと驚きだったのは、斜め向かいの席に座っていたおねーちゃん、ずーーーっとケイタイでしゃべり続けていた。電車が動き始めても、しゃべっていた。我々と同じ、千里丘で降りても、まだしゃべっていた。なんかもう、それだけでこちらはぐったり疲れてしまった。


実は、用事があったのは大津で、その帰りに高槻で途中下車して食事をしていたのだった。
大津での用事というのは、琵琶湖ホテルで行われた山田レイさんのソロライブ。
「宿神」シリーズ第3弾。3部構成で、第1部は新作の「比翼連理」、第2部はコントラバスとピアノによる「弦の世界」。そして第3部が、いつもの「芭蕉精」。
「比翼連理」という言葉は知らなくて、レイワークスのWebサイトにあるレイさんのダイアリで初めて知った。これを読んだ時にはへええ、と思ってそのまま忘れていた(鶏頭)。たまたま最近、無謀にも「源氏物語」を読み始めたのだが、なんと最初の「桐壺」にいきなりこれが出てくるのだった。

朝夕の睦言に、「天にあっては比翼の鳥、地にあっては連理の枝」とお約束をなされたことの、空しい夢となってしまったはかない運命の限りない恨めしさ。

とある。比翼連理の原典は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃とのことを歌った白楽天の長詩「長恨歌」(ちょうごんか)だそうで。昔のひとは、教養がありますな。
まとにかく、そんな内容の第1部でしたよ。でこれがまた、いったいどこからあんなおどろおどろしい音楽を見つけてくるのか、と思うようなBGMで、場内を走り回るレイさん。僕らの後ろに座っていた小さな女の子がビビってしまい、「お母さん怖い」って。
「悲恋」?うーん、一歩間違うと昼ドラどろどろかも?
ところで、昨年暮れのレイワークスの公演(ソロではない)、あの時に観たのと同じような動き(ていうのだろうか)がときどき出てくる。ダンスにおいてもやはりクリシェ的な表現みたいなものがあるのか。それとも、これはひとつの個性であり、ギターなんかでいうところのいわゆる「手癖」ってやつか。
そんなディテールばっかり気にしてどうする。
第2部は、今回(2日め公演のみ)音楽を担当されている、コントラバスの小林秀美さんにピアノを加えて5曲ほど。ピアソラの曲がカッコ良かった。もともとコントラバスで弾くべきところを弾いてるので、無理がないし。
そして第3部の「芭蕉精」。これはもうスタンダードになっていて、圧倒的な説得力でもって迫ってくる。一瞬にして芭蕉精ワールドを形成し、そこに取り込まれてしまう感じ。衣装も、第1部のやつは正直「セサミストリートかよ」と思ったが、やっぱりこっちの方がしっくり来ますわ。
よくわからんけど、「そんな大きなもんを担いで踊ってはるんですか!?」と思ってしまった。いや、物理的な意味じゃなくてさ。なんとなくそう感じたのよ。



公演が終わってから、腹減ったし晩ゴハン食べて帰ろうぜ、となった時に大津の駅前はあまりにも寂しすぎるし、ちょっとでも家に近い方が良いから京都か高槻で食べよう、ということになった。もしも大津で食べてたら、人身事故で23時40分まで電車が動かないなんてかなり悲惨な状況だったはずだ。高槻まで行っててよかった。